このページでは独学一発合格した経験に基づき、電気工事士 2種 実技試験(正式には第二種電気工事士 技能試験)の合格のために「合格の要点」、「材料セット」、「テキスト」、「工具」、「その他持ち物など」の項目に分けてアドバイスしてゆきます。
長文ですが平易な文で書いたので、友達に相談していると思って気軽に読んでいただき、参考にしてもらえればと思います。この試験は、きちんと練習すれば誰でも受かります。練習しなければ受かりません!!
合格の要点
ここでは、試験を振り返り大事だったなぁと思う点についてあげたいと思います。
よく練習し、時間内に問題が終わるようにする
練習当初、40分以内に工作しなければいけないところ、私は2時間かかってしまいました。1問作り終わったところでどうしようかと思いました。
さあ、ここから大変です。公表問題13問を作るのに26時間かかってしまいます。飲まず食わずでやって1日以上になります。
でも次々に公表問題を工作していくと時間もどんどん短くなっていきました。
また試験会場の机は広くありません。隣は一人分空けて座らされるので左右はまだいいのですが、前後は広くありません。家の机でも机が狭い想定で練習してください。
試験当日もすぐ前に座った人は、道具袋からジャラジャラと道具を山盛りに積んでいました。この山から道具を選び出す時間がもったいないのに、と思っていたら、試験終了時には案の定、工作が終わらず工作物を投げ出していました。彼のセンスが無いのでも何でもありません。単に練習が足りないのです。練習を積むとどうしたら早く作業ができるかということに感性が鋭くなってくるので、山から道具を取り出すなんて時間がかかることしません。
線むき長さがいつも一定になるよう練習する
要するに、この試験はいかに線を正確に切り、むくか、ということにつきます。
あと少し、圧着端子を間違わず、早く巻けるか、です。
配線を間違わないのは、使われている状況(配電盤に近い側は太い線など)、場所をイメージすればわかりやすいです。大概自分の家の中にあるシチュエーションです。
私の場合、ランプレセプタクルに苦戦しました。輪づくりで線が重なったり、カバーが閉まらなかったりで、これを調整しているとどんどん時間が無くなりました。不得意な部品は何度も個別練習をしましょう。
ランプレセプタクルがうまくいかないのは線むきがいつも一定の長さになっていないからです。長めに線を剥き、切り揃えるなど工夫をしてみてください。その時々で剥いた銅線が長かったり短かったりしてそのまま輪づくりしてもうまくいかないことが多く、巻き付けをしてからいじっても時間ばかりかかります。
線の長さを間違わない
試験時には長いままのVVF線が渡されます。これを間違えて切るともう、元には戻りません。線の使いまわしで何とかならないなら、そこで試験終了。退室可能時間まで寝るしかなく、半年後の受験にエントリしなくてはならなくなります。この試験の厳しいところです。実際の現場だと「やっちゃったぁ、しょうがないなぁ。間違った線は他で使うか」とか言いながら電線のリールから次の線を引き出せばいいのですが、試験は一発終了です。
間違いなく線を切り回路を作れるよう自信が少しつくまで練習しましょう。
テキストには、工具や自分の手を使って電線の長さを測る方法が書いてありますが、自分の手を使っての計測でも誤差が積もって電線の不足気味になった練習回があったので、私はメジャーを使う方法に変えました。
小学校の家庭科で使ったペニャペニャのメジャーを机にセロハンテープで貼ってそこに線を当てて長さを測るようにしたら電線の不足気味が無くなり、不安が解消しました。金属製の30cm程度の定規を置くやり方でもいいかもしれませんが、持ち運びを考え私はペニャペニャメジャー・セロハンテープ作戦にしました。
性格の問題ですが、手を使うと「関節のこの辺」みたいなのをどうしても曖昧に電線を切ってしまう性格なので致し方ありません。要は自分の「不安」が無くなる方法を見つけることが大事です。
手を痛めない
練習は必要ですが、手を痛めないようにすることも重要です。VVF線の2.0mmは結構太いので、1本2本ならどうということないのですが、練習で沢山切ったりすると結構手にきます。
作るだけで無く、次の練習のために分解しなくてはなりません。差込形コネクタから線を外すのも結構大変でした。試験当日手が痛くて作業が遅くならないよう私は注意しました。
丁寧さと時間のバランス
会社の電気部の人は、40分で3問作る練習をしたそうです。1度作ってもらいましたが、私からするとかなりざっくばらんで、あのザックリさ(線の長さ等は問題ない)で私は作れませんでした。
私の性格の問題です。ただ、丁寧・慎重過ぎて時間をオーバーするのも問題です。この兼ね合いも大事だと思いました。
材料セット
練習をするには材料セットを買わなければなりません。いろいろ売っていますが、基本的な選び方を私なりに解説します。最近は、材料のレンタルもあるようです。
テキストに広告されている材料セットを買うか
テキスト内部ページにセットの販売広告がありますが、楽天のショップで買う方がお金を節約できるのかもしれません。
私は両者を比較しなかったので、テキスト広告のセットを買ってしまいましたが。
テキスト付きのセットを買うか、テキストなしにするか
すでにテキストを持っているかどうかで決まりますね。
何回位練習できるのか。練習したいか
自信があったり、すでに仕事で電気工事の補助をしているのなら1回(13問1周)でいいかもしれません。
職場の電気部の人は、先輩について2年くらい仕事をすると先輩から「電気(の資格)取って来い」と言われ受験します。先輩が仕事の手際を見て判断します。こうした人は1回で十分だと思います。
1回では不安だから2回くらいやっておこうかなという人には2回セットですね。
回数を増やしても使うのは電線とリングスリーブだけで後の部品は、差込形コネクタを含めみんな再利用します。差込形コネクタから線を抜くときは、線を回しながら抜いてくださいね。リングスリーブは1回しか使えないので、ホームセンターで買い増ししました。
脱線しますが、1度使った差込形コネクタは、練習はいいですが実際の工事では捨ててくださいね。接触不良で停電したり、加熱して火事になるリスクがあります。
その辺に置いておくと新品と混ざるので、厳に捨て!
1回分セットをまず買ってみて13問1周やってみてその感じで、線を買い足してもいいかもしれません。
私は、まず3回セットを買いました。これもあっという間に終わってしまい不安だらけだったので、さらに3回分位の線だけセットを買いましたが、途中で線がもったいないなぁと感じ始め、長さが短くなるのを承知で線をリサイクルする練習と新品の線を使う練習を混ぜていました。
VVFはだいぶ余りましたが、結果的に合格できたので良しとしました。余り線は今でも少しずつ使っていますし。
また部品は本物でも、ダミーでも構いません。
市販セットでは本物の電気部品が入っていると思いますが、線は繋げるが内部部品が無いダミー部品が来るかもしれません。
ダミー部品より本物の部品の方が入手性が高いので市販教材では、通常は本物の部品が付いてくると思いますが、ダミー部品でも問題ありません。私の場合、本試験の時にむしろダミー部品でした。
話はまたそれますが、私は試験会場にテスターも持っていきました。試験開始前に試験監督員に「テスターを使って良いか。配線があっているかチェックしたいのだけれど」と聞きました。その場に試験監督員が数人おり、ざわつきました。
「聞いてみる」ということになり、後から来た回答は「ダメ」でした。「電工工具じゃないと思うのだけれど、電工工具扱いなのかなぁ」と思いました。でも試験が始まってわかったのは部品がダミー部品でちゃんと結線しても通電しないというのが理由でした(^^。
電線、器具の例
購入する時は、ご自分でも内容をよく確認して自分に必要な物を買ってくださいね。ここで間違える人は試験など受かりませんよ!
本当に、よく見て買ってください。1万円代前半のセットは一通りの練習ができると書いてあっても電線が入っていない「器具セット」であることもあります。これは、電線を好きな回数分だけ買い足して使うものです。安いからとすぐに飛びつかないように。
また、2024年対応でない他の年度対応もあります。安いのかもしれませんが、その年度の材料で2024年の候補問題がすべてできるのかよく調べてください。
最近は、材料のレンタルもあるようです。
① 1回分最安か。工具、テキストなし。
② 3回分はこのあたりでしょうか。電線と器具入り。工具、テキストなし。
③ YouTubeで解説動画付き。工具、テキストなし。
④ 材料だけレンタル
材料は、切ってしまったりするので試験対策にしか使えません。
なので、返すというサービスもあります。価格的に安くあがるのではないでしょうか。
パッと見、テキストの『すい~っと合格』と3回練習分の器具配線のセットは見つからなかったので、3回練習するなら、テキストと器具配線を別に買うのが良いようです。
テキストについては以下で説明します。
テキスト
筆記試験対策で説明したように私は、テキストを買い直ししたので、技能試験のテキストも2つのシリーズを持つことになりました。
結論を言うと、内容的には以下のどちらもお勧めで雰囲気で選んでいいと思います。
私はこれらを使って一発合格しました。
B5サイズで狭い机にも置きやすい本です。
公表問題1問ずつに施工の注意や手順が載っています。
A4サイズで大きて見やすい本です。
公表問題1問ずつケーブルの切断と皮むき寸法が掲載されています。これは初めて施工する時は便利です。
工具
ここでは、工具一式がそろったセット、私が買った工具、私が試験で使わなかった工具の3つについて説明します。
基本的に身の回りにあるならそれを使っても合格できますが、電気工事士の資格は持っていると食い扶持(ぶち)に困らない一生モノの資格なので、ある程度の投資はしてもよいと思います。試験にしか使わない道具があっても合格すれば、自分への投資には十分なります。
工具一式がそろったセット
個々に道具を選ぶのが面倒な方は、工具セットのホーザンDK-28がいいと思います。
DK-29は、電工ナイフで線剥きすることを前提としていて、DK-28に入っているVVFストリッパーが入っていません。圧着工具はP-77が入っており、リングスリーブ圧着サイズ「大」に対応し現場作業に対応していますがやや重くなります。試験後も現場工具として使う方むきです。
DK-26は、「高級な」VVFストリッパーとVVFペンチが入ったセットです。
まだ表示が2024年度になっていない物もあるようです。
① DK-28
② DK-29(VVFストリッパーなし)
③DK-26(VVFストリッパーとVVFペンチ入り)
私が買った工具
私が買った物(一部後継品)を紹介します。
書いていないものは持っている物を使ったので、電気工事士試験用には買いませんでした。
① ホーザン 圧着工具(リングスリーブ用)(P-738)
② ホーザン VVFストリッパー(P-958)
③ ホーザン 合格ゲージ(P-925)はあった方がいいと思います。
④ ホーザン Z-683電工ナイフ
私が試験で使わなかった工具
試験では私は使いませんでしたが、ご参考までにいくつか工具を挙げておきます。
① 電工ナイフ、合格クリップ
電工ナイフは、試験当日にストリッパーが万が一壊れた時や、実際に自分が工事をする時に使えた方がいいので練習してください。慣れると、ほかの工具を使うより早く作業ができます。また現場ではVVF以外にも色々な線があるのでVVFストリッパーだけでは作業できません。
文具用カッターはだめです。たぶん当日持ち込みや使用は禁止です。電工ナイフは文具用カッターのようには切れず、線やナイフを手にもって線剥きをしても手を切ることが少ないのですが、線剥き作業を文具用カッターでやると怪我人続出になるからです。
ホーザン(HOZAN)P-926 合格クリップは、私は使いませんでした。高くないので、気になる方は買って、練習で使ってみて試験で使うか考えてもいいかもしれません。
② DK-200 合格マルチツール
私の時には世の中にこんな便利な道具があるとは知りませんでした。私が試験時に知っていれば絶対買いました。
ウオーターレンチは大きいのでロックナットや絶縁ブッシングは締め難くいので、このツールで早く確実に締まれば便利です。
また、電線を取り外すために器具のはずし穴にドライバーを差し込み外す方法もありますが、これは器具を痛めたり、線を外すのに時間がかかるときもあるので専用の工具を使うことをお勧めします。試験中にミスに気付いて慌てて線を外そうとして器具を壊したら終わりですので。
私は、わざわざプレート外しキーを買いました。合格マルチツールは、プレート外しキーにもなるので便利だと思います。
ただ、ねじの頭を切断する作業はウォーターレンチや大きなペンチの方が使いやすいという方もいらっしゃるかもしれません。
私なら、合格マルチツールとウォーターレンチ両方持っていきます。
セットもあります。
② ベッセル VA線ストリッパー(3200VA-1)
練習初期に使っていましたが、重いので使うことをやめてしまいました。ただ線剥きは早いのでとにかく線を早く剥かないと合格できないという人にはよいかもしれません。
工具全体を通して、私の場合、練習が進むにつれ軽い工具を使いたくなりました。
恐らく手作業が早くなり、チャチャ切ったりするのに重い工具を嫌ったのだと思います。
最初こそ、便利なのでベッセル VA線ストリッパーを使っていましたが、途中でホーザンVVFストリッパー(P-958)に切り替わり、さらに練習が進むと電工ナイフを使い始めました。
ただ、電工ナイフだと時間内に終わらない可能性がまだあったので、試験本番ではストリッパーを使いました。ベッセルVA線ストリッパーも合格後は使っているので無駄にはなりませんでした。
一覧で安いのは、替え刃だけの販売です。間違えて買わないように。
また、いくつかの工具の写真が同時に表示され、工具の選び方により値段が変わるショップもあります。
冷静によく見て、必要な工具を購入してください。
そそっかしい人は、試験に受かりません。
私はベッセルを買いましたが、ホーザンでも出ています。
③ テスター
配線をすぐにチェックできるので練習をする時に私はテスターを使っていました。テスターは、電気工事の時ブレーカが本当にOFFになっているかを電圧でチェックできるので、感電事故防止にも役立ちます。まだ持っていない方はこの機会に購入するのもありです。
またエアコンの室外機を分解するようなことがあれば、コンデンサーの放電チェックをしないで作業をすると、元電源を切ってあっても感電することがあるので注意が必要です。
また、本番試験では器具がダミー部品で通電しないので使えませんでした。私が今使っているテスターはこれです。ずっと日本製を使っていたのですが壊れたので、たまには外国製も使ってみるかと思い買いました。ひじょうにしっかりできており少々手荒に扱っても大丈夫な感じが頼もしいです。
④ 合格配線チェッカー(Z-222)
一方、ホーザンから「合格配線チェッカー(Z-222)」なるものが出ています。私は使いませんでしたが、値段とチェック効率との考え方は人それぞれなので一応紹介しておきます。
⑤ 絶縁ドライバー
ドライバーはサイズさえ合っていれば、なんでも使えます。
ただし、私が試験で使用したドライバーは金属とプラスチックだけでできていて、ねじの頭にドライバーを当てた時の感触が「カチン」という感じで私は好きではありません。やはり、柄の部分にゴムが施してあったり、柄が木製であったりして当たった時の衝撃が無いドライバーが好きです。私は最近、絶縁ドライバーなるものを知り、買いました。
通電状態の器具をいじることはしないようにしていますが、万が一に備えて購入しました。絶縁ドライバーの値段にもいろいろありますが、安全のことを考えて以下の商品にしました。ただし、絶縁保護具として正規に使っていくには定期的な絶縁試験が必要かもしれません。私はそこまでやっていませんが。
このドライバーは試験の時に使っていたドライバーほどカチンという感触ならないので気に入っています。
この特殊な色のドライバーをみるとテンションが上がるのはいいところです。
その他持ち物など
テキストには、タオル、カットバンなども持ち物として書かれていて、タオルも持っていきましたがいらなかったという印象です。冷房が効いていたのと、手にかいた汗程度はズボンで拭けばいいですから。
カットバンは持っていくのを忘れ、途中のコンビニで買いました。もちろん、使いませんでした。
実際の試験では、数分前に回路を完成することができました。残り時間で何回もしつこく確認をしました。こうしてやっと技能試験が終わり、ほっとしたような、力が抜けてボーとしているような状態で帰りのモノレールに乗りました。ドアが閉まった瞬間、「あっ、しまった」と思い出しました。
余り配線の1本をごみ袋にしまうのを忘れてました。
箱の陰か、机の突起の陰にあったはずで、作業中は「後で片そう」と思っていましたがそれっきり忘れてしまいました。減点になっていたかもしれません。
「後で...しよう」などと考えない方がいいです。忘れます。「ここは後で締めよう」「このカバーを今は仮に閉めておこう」などやったら、その部分は不備のまま残り、試験に落ちると思った方がいいです。
大丈夫です。この試験は合格者数が決まっているわけではないので、練習すれば必ず誰でも合格できます。合格をお祈りしています!!
プロフィールに代えて
ある日、台所の手元灯を替えようとホームセンターから買ってきた電灯のパッケージを見ていたところ、「電気工事士の資格者が施工してください」と書いてありました。
よく見たら線が出ておらず、線を差し込まなければいけない器具を間違えて買ってきていました。それを見ながら、「あ~、資格を持っていれば威張って取り付けができるのになぁ。」と思いました。
ふと、スマホで試験について調べると、ギリギリ願書が出せる時期でした。「ちょっと、やってみる?」これがきっかけです。 仕事は機械系技術者ですが、家庭内の電気は中学生の技術科レベルです。
0の状態から数カ月でマスターしようとした技能試験の練習はきつく、「こんなきつい試験、2回もやるのは嫌だぁ」の一心で練習し、筆記試験、技能試験両方とも1発で合格しました。
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