線間と対地を「感電」でわかりやすく解説します。
合わせて、単相3線式、接地側、非接地側ということばもわかりやすく解説します。
私は小学生の時に感電しました。キッチンの手元灯の蛍光灯を替えようと、流し台の上に裸足で登り、照明器具に触れたとたん、右手から肩ぐらいにかけてビリビリっときました。流し台から落ちて床にしゃがんでアッーって唸っていたら、大袈裟なと言われましたが、いやーびっくりしました。
接地側、非接地側を認識せずに素人が「にわか」知識で照明器具を付けると、こういうことになります。
照明器具に紐で引っ張るスイッチが付いていて、そのスイッチは切られていました。
ランプレセプタクルの受け金ねじ部に接地側を結線するのも、受け金に指が触れても感電しないようにするためです。
はいここ、技能試験に必ず出ます。
家の中の水道管などは電気を通す物が使われた時代があり、地面まで電気が通ることがあります。
しかし最近の家では、途中にプラスチック系の電気が通らない水道管が使われることがあります。昔は洗濯機の接地配線は水道管につなげばよいとされていましたが、最近は水道管に接地配線することはNGとされています。
感電の2つのタイプ 線間の感電、対地の感電
感電には2つのタイプがあります。私はどっちの感電をしたと思いますか?
1つ目は、図の左のタイプの電線2本に触れて体の中を電気が通り感電する線間の感電です。
地面に電気が抜けなくとも感電します。
もう1つは、図の右のタイプの電線1本にしか触れていないけど、電気が体から抜けて地面に行ってしまい感電する対地の感電です。
そうですね、私は対地の感電をしました。
照明器具から私の右肩、体、足に電気が抜けて、流し台、水道管を通って、地面に流れていったのでしょうね。
線間と対地の考え方は、送電を理解する上で大事です。
また、電気工事士の試験では、接地側、非接地側という言葉がよく出てきます。
技能試験でもこれを間違えると、一発 終わりになります。
電気が来るしくみ なぜ、接地側と非接地側があるのか
では、もっと理解するために、家庭に電気が来るしくみを見てみます。
単相3線式の説明です。
送電 電気を送るしくみ
電圧の高低順に、高圧→低圧→通信線の順にちゃんと分けてありますよね。
電圧が高い方が、上です。
人が触れ難いよう、安全を配慮してです。
変電(電圧を調整するしくみ)と配電
送られてくる6,600Vでは、家庭用としては電圧が高すぎるので、100Vと200Vに調整します。これを変圧と呼びます。
変圧は、変圧器を使って行われます。
なぜ、接地側と非接地側があるのか
変圧器が故障した際に、6,600Vが住宅に流れないず、地面に流れように、下の図のように接地線により、安全対策を施してあります。
この接地は電柱で行われています。
接地している線を接地側、そうでない線を非接地側と呼びます。
下の図では、変圧器右側の真ん中の線だけ接地側、他の2本の線が非接地側です。
このしくみのために、電路に接地側と非接地側ができるのです。
接地側電路には、白い線を使い、器具にはWやNの表記があることがあります。
接地側とは、この白い線を使った線、あるいは器具では、WやNの記号がある方です。
接地側を家庭から辿っていくと、電柱で地面に接地されているのです。
変圧器のしくみ
変圧器は高効率なうえ、価格やメンテナンスコストが比較的低いので、電圧の変換によく使われます。
電柱の上の3本の6600Vのうち、2本だけ使うと、単相と呼ばれる電気が取れます。
電気が入って来る線(入力)は2本なのに、変圧器を使うとうまいこと3線取り出す(出力する)ことができます。
3線で電気を取り出すのは、コイルの巻き数を変え、100Vと200Vの2種類の電圧を得るためです。
変圧器は、入力側と出力側の巻き数の比で、自由自在に電圧を変えることができるんです。
便利ですねぇ~。
変圧器の出力電圧は、入力側の巻数と出力側の巻数の比で決まります。
例えば、6,600Vを200Vにしたければ、
6,600巻と200巻にすればよいわけです。
この200巻きの半分、100巻きの所に線を繋いでここからも電気を取り出せば、100Vというわけです。
やっぱり、変圧器は便利ですねぇ~。
単相3線式の配電
家庭では、100Vの他、エアコンやIHクッキングヒーターのために、200Vも、最近ではよく使います。
なので、変圧器の出力線が3本線あれば、100Vと200V両方が取れるというわけです。
これが、単相3線式です。
下の図のように、電柱の上の3本の6,600V線のうち2本しか使いません(単相になる)。
変圧器からの3本の線を使って以下のように各家庭に配線すると、安全のための屋内対地150V以下を確保しながら、100Vと200Vが使えます。
私の実家のように昭和なお家は、3線の内2本の100Vだけという所も多いかもしれません。
最近のお家では、電柱から100vと200Vの3線での引き込みが多いと思います。
自分の家やご近所の家で、引き込み線の家側を見てください。
2本ですか?3本ですか?
非接地側点滅とは 感電の防止策
ここで、感電つながりで、電気工事に重要なことを説明します。
電灯を点灯(点滅)させるスイッチは、電灯器具より非接地側に入れることが基本です。
これを、非接地側点滅と言います。
下の図で説明します。
非接地側点滅にすると、スイッチを切った状態では電灯器具に電気が来ていません。
この状態なら、電球交換時などに誤って器具の金具に触れても、感電しません。
非接地側点滅にしていない場合は、スイッチを切った状態でも電灯器具に電気が来ています。
このため、誤って器具の金具に触れた場合、感電する可能性があります。
接地側、非接地側を間違えると
では、今度は、スイッチを入れる位置ではなく、接地側、非接地側を間違えて、配線のするとどうなるのでしょう。
私の小学生の時の体験を振り返ってみましょう。
照明器具内は、非接地側点滅にキチンとなっていて、紐で引っ張る器具のスイッチが切られていたとしても、接地側、非接地側を間違えて照明器具に接続すると、非接地側から器具を通して「対地の感電」をします。
下の図で、確認してください。
上の図と異なり、接地側、非接地側が上下の線で入れ替わっています。
仕様や故障により、製品の金属ケースが非接地側に繋がっていると、金属ケースを触れただけで感電します。
これゆえ、危ないので、接地側、非接地側を間違えて配線してはいけません。
実技試験で接地側、非接地側を間違えると、もちろん、落ちます。
まとめ
というわけで、単相の配電をまとめると以下のようになります。
単相3線式と三相3線式の違いを、とてもわかりやすくまとめていますので「三相3線式とは」もご参照ください。
技能試験用の道具や材料は、「独学一発合格!実技試験対策」に書きました。
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