単相、三相の確認は、電力会社との契約の内容を確認すれば、よいわけですね。
単相3線式100V/200Vを契約するか、三相3線式200Vを契約するのか、を決めているはずです。
また、電力量計や配線用遮断器など、電柱等から引き込んでいる設備も、単相用と三相用が異なり、「単相」、「三相」や「1Φ」、「3Φ」などと書いてある器具もあるので、器具の表示を見れば間違わないですよね。
それでも間違えたら?
そんなお話をします。
ここでは、電気工事士の資格試験対策として、単相3線式100V/200Vと三相3線式200Vを例に取り上げます。
単相と三相って、どんな?
まず、単相と三相の復習から。
単相3線式100V/200V
まず、単相の波形を示します。
例として、単相3線式の2線の電圧を描いてみます。
単相では、波形が1本です。
変圧器に入る前の電圧6,600Vで、描いています。
なぜ、こんな1本の電圧波形になるかというと、電線から電柱にある変圧器に入れるときに、6,600Vの3本ある線のうち、2本(1組)しか使っていないからですね。
だから、「単相」と言います。
三相3線式200V
では、三相はどういう電圧波形でしょう。
以下に、三相3線式の電圧波形を示します。
3線のうちの2本ずつ「3組」の電圧を描いてみます。
3組というのは、下の電柱が書いてある図で、①-②、②-③、③-①の3組です。
なぜ、こんな3本の電圧波形になるかというと、電線から電柱にある変圧器に入れるときに、6,600Vの3本ある線のうち、3本とも使っているからですね。
だから、3本の電圧波形になるから「三相」と言います。
なぜ、このような電圧波形になるかというと、もともと、電力会社の変電所から送られてくる電柱の電気が、上の電圧波形の図にあるような3本のズレた電圧波形(三相の波形)で送られてくるからです。
単相は、このうちの1相を取り出している、というわけです。
ではなぜ、単相と呼び、1相と呼ばないのかは、わかりません。
誘導電動機に単相3線式100V/200Vを間違えて接続したら
工場などで使われる誘導電動機(モーター)は、以下のようになっていて、三相を接続すると、3組のコイルが順番に力を出します。
接続の方法は、たとえば、上の図の緑色の相(例えば、①-②)を下の図の緑のコイルに、青色の相(②-③)を青のコイルに、赤色の相(③-①)をオレンジ色のコイルにつなぐといった具合です。
単相をつなぐと、当然順番に電圧波形が大きくなるわけではないので、各色のコイルが順番に力を出すことができず、回らない、あるいはスムーズに回らないといったことが起きるでしょう。
単相3線式100V/200Vの回路に、三相200Vを接続したら
三相3線式200Vの3本の電線では、どの2本の組み合わせでも、200Vの電圧がかかります。
100V用の器具に、200Vの電圧をかけると、壊れる、発火するなどが考えられます。
やってはいけませんね。
器具ばかりではなく、電線も許容電流を超えてしまう可能性があります。
では、ここで問題。
問題1: 抵抗が一定で、電圧が2倍になると電流は何倍?
問題2: 1.6mmの絶縁電線の許容電流は何Aか?
電気工事士になるなら、答えられないと。
まとめ
単相3線式100V/200Vと、三相3線式200Vを間違えると、どうなるかについて書きました。
そもそも、電力会社との契約書を確認するなどすればわかるだろうし、確認をしてから接続するのが大原則ですよね。
「だろう」で作業して事故が起きるのは、電気工事に限らず、どの現場も一緒ですよね。
仕事ばかりではなく、自動車や自転車に乗っている時も。
さてさて、三相3線式については、「きほんのき 三相3線式とは、単相3線式との違い」で丁寧に、わかりやすく説明しています。
1.6mmの絶縁電線の許容電流は、「鬼の10問 これはやっとけ ② 絶縁電線の許容電流」を見てください。
では、では。
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