電気工事士の資格を持つ機械系エンジニアが、わかりやすくエアコンの暖房費(電気代)を解説します。
エアコンの電気代って気になりますよね。
よく、高いエアコンは省エネにできていると言われるけれど、どのくらい省エネなのでしょうか?
エアコンをこれから買う人には、エアコン選びの基本となるグレードと電気代の関係を、すでに、エアコンを使っていて、電気代が気になる人には、おおよその電気代や、その計算方法をわかりやすく解説します。
ここで扱うのは、あくまで参考情報です。
比較の方法
いくつかのメーカーがありますが、1例としてダイキンを取り上げます。
これ以外のメーカーも、もちろん、いい製品を出していますが、多くを取り上げるとわかり難くなるので、まず1例で説明します。
また、どのメーカーも、フラグシップ機、ミドル機、手頃な価格機を出しています。
ここでは、わかりやすくするために、グレードはフラグシップ機と手頃機の2つを比較します。
ミドル機はその中間に入るというわけです。
エアコンの電気代の計算方法
エアコンの電気代を計算するにあたり、必要なことが2つあります。
1つ目は、そのエアコンがどの程度電気を使うのか。
2つ目は、電気代の単価(電力料金単価)です。
以下、詳しく説明いたします。
エアコンがどの程度電気を使うのか
これは、カタログに表示されている暖房時期間合計消費電力量を見れば、わかります。
暖房時期間合計 (11月8日〜4月16日) の160日間、1日18時間、エアコンを使った時の合計の消費電力量を、メーカーがカタログなどで公表しています。
期間は、日本工業規格(JIS C 9612:2013)で定められた数値です。
冷房の場合も、冷房時期間合計消費電力量として各メーカーは、公表しています。
こちらも 160日間 (5月23日〜10月4日)、1日18時間、エアコンを使った時の合計の消費電力量となります。
電力料金単価
電力料金単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が発表している電気代の目安単価「電力料金目安単価」があります。
これは主要電力会社10社の平均単価です。
令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)が現在の目安単価です。
しかし、最近の電気代はこれより少し高いようなので、直近のわが家の実績を使って、電力料金単価を計算してみます。
2024年8月11日~9月10日は、451.3kWhで14,700円でした。
ゆえに、
14,700円 ÷ 451.3kWh = 32.6円/kWh
となりました。
以下では、この実績、電力料金単価32.6円/kWhを使って暖房費を計算してみます。
電気代は階段式に値段が変わるのですが、計算が複雑になるので総額を使用量で割り算した値を使います。
暖房費(電気代)の計算例
では、実際にエアコンの電気代を1つ計算してみます。
例えば、ダイキンエアコン 2024年モデル Rシリーズ (AN224ARS-W)、6畳 2.2kW は、
暖房時期間合計消費電力量は、 426kWhなので、1時間あたりの消費電力に直した上で、電力料金単価を掛け、1時間当たりの電気代を計算します。
つまり、以下の式となります。
( 426kWh ÷ 160日 ÷ 18時間/日 )× 32.6円/kWh = 4.8円/h
このエアコンの電気代は、1時間当たり、4.8円となります。
暖房費(電気代)の比較結果
同様に、各部屋サイズ、各グレード(シリーズ)のエアコンの電気代を計算しました。
計算した結果が以下の表です。
表には、インターネットで調べた、設置工事無しの参考価格も入れておきました。
あくまで、シリーズ間の価格差をわかりやすくするための目安価格です。
また、18畳モデルは200Vが必要になります。
やはり、フラグシップ機の方が、手頃機よりも電気代が安くなっているのが、よくわかります。
もちろん、フラグシップ機には、冷房能力の差以外にも、エアコン本体のお掃除機能など、付加価値の高い機能も付いています。
ダイキンの場合、Rシリーズには、6畳モデルにも、無給水加湿、給排換気、体にあたりにくい気流制御機能などが付きます。
まとめ
電気工事士の資格を持つ機械系エンジニアが、エアコンの暖房費(電気代)を解説しました。
グレードと電気代の関係や、おおよその電気代、その計算方法のイメージがつかめましたでしょうか。
これらの参考情報を元に、暖房器具を選んだり、暖房費の節約に役に立てていただければと思います。
おまけ:アマゾンで探すなら
アマゾンでエアコンを探すなら、最初に絞り込みメニューの「床面積」で絞り込みをすると、探しやすくなります。
ただし、絞り込みが正確ではないので、他の床面積もまぎれます。
表示している商品をよく確認してください。
また、「結果」の欄だけでなく、その下にスクロールしてゆき、「その他の結果」、「高評価」なども見てください。
工事が含まれているか、税金が含まれているかなども、よくご確認を。
アマゾンなら、ここをクリック。
FAQ
エアコンのフラグシップ機は、なぜ電気代が安いのか
フラグシップ機は、次の各要因で優れた技術が採用されていることが考えられます。
圧縮機(コンプレッサー)の性能
圧縮機は、空気中から集めた熱をさらに高くし、その熱を循環させる装置です。
エアコンの消費電力は、大半が圧縮機の消費電力です。
なので、圧縮機の効率がエアコンの消費電力を決めると言っても過言ではありません。
メーカー各社がしのぎを削っているところです。
細かいモーター制御
圧縮機を動かすモーターの制御が細かいことが考えられます。
最近のモーター制御は、電圧や電流の値ばかりか、それを与える周波数も制御し、効率的な運転を目指す制御が取り入れられています。
熱の移動技術
室内機と室外機の間を熱を移動させて、部屋内の温度、湿度を快適な状態にするのがエアコンです。
この熱の移動では、温度を上手に管理することにより、効率よく熱を移動させることができます。
部品の効率
1つ1つの部品の効率も重要です。
たとえば、モーターが効率よく力を出すために、電線(コイル)や磁石の材質に、効率がよい素材が使われています。
ご要望やご質問など、どうぞ。 (個人情報を書かないように)