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電工 きほんのき – 電流と電圧、抵抗 違いをわかりやすく 実効値、電圧降下もわかりやすく解説 漏電遮断器と配線用遮断器の違いも

資格電気工事士 2 種(第二種電気工事士)

今回は、電工きほんのきとして、電流、電圧、抵抗についてわかりやすく、ていねいに解説します。

過去に、「電流と電圧が電気の流れに関係する言葉だろうけど、どう違いを捉えたらいいのだろうか」と思っていた時期が私にはありました。
でもある考えを思ったときにその違いがハッキリしました。

そこで、まずはこの考え方をご紹介し、その後に電流、電圧に関連する事柄をいくつか解説します。

読まれる方の言葉の整理ができると幸いです。

電流、電圧の違い

まずは電流、電圧の違いです。

水に例えると、次の図のように、ホースから水がジャーっと出ていて、これを指でもゴム板でもいいから、ピッと止めたとします。

止めたのだからもう、水は出ませんね。つまり水流(電流)は0ゼロです。

一方、水は流れていませんが水を止めた指には、「水をださせろー!」と水圧(電圧)がかかっているはずです。でも水は流れません。

電流と電圧の違い、水に例える

これが私が理解した、電流と電圧の違いです。

そして、指がこの場合、抵抗です。水が出なければとても大きな抵抗があると考えます。

少しずつ指の力を弱めると、少しずつ水が出るようになるわけで、つまり抵抗が弱くなったことを意味します。

これだけですが、この考え方で電流、電圧の違いがハッキリし、私は頭の中がスッキリしました。

電流について

では次に、電流に関連する事柄を解説します。

電流は出て行ったら、原則的に全量戻ります。

原則的にと言ったのは、途中で漏電すると、全量は戻らないからです。

次の図に示すように、10A流れ出ていったら、途中に負荷があろうが10A返ってきます。

さっきの水の例を思い出してください。10L水が出ていったら、10L返ってきますよね。

この性質とオームの法則(E=IR)を使って、電圧降下を計算します。

電圧降下は、電気工事士試験に出ることがあります。

電流は出て行ったら、原則的に全量戻る。

漏電遮断器

ここでせっかく、「電流は出て行ったら、原則的に全量戻ります」という話題が出たので漏電遮断器の説明もしておきます。

次の図を見てください。

漏電遮断器の説明

もし10A流した電流が途中で、漏電により1A地面に漏れ流れてしまうと、再び漏電遮断器に帰ってくる電流は目減りした9Aになってしまいます。

水ならホースの途中に穴が空いていて、10Lのうち1L地面に漏れるので、9Lしか返ってこないのと同じです。

これを漏電遮断器が監視していて、「ややっ!行きと帰りの電流値が合わない。漏電だ!危ない、感電している人がいるかもしれないし、設備が絶縁破壊しているかもしれない。」とばかりに

「ええい、電気を切ってしまえ!」と電気を自動で切ってくれるのです。

似たような機器に、配線用遮断器(ブレーカー)があります。

配線用遮断器は最大電流を監視していて、線間のショートや機器の異常などにより、配電設備に設計以上の電流が流れた時にエイッと電気を切ってくれるものです。

漏電遮断器と配線用遮断器の違いが判りましたか?

漏電遮断器と配線用遮断器が1つになった機器もあります。

ちょっと恐ろしい話

さてここで、ちょっと恐ろしい話をします。

オームの法則の式 E=IR があります。Eが電圧、Iが電流、Rが抵抗です。

実はこれがおっソロしいことを示しています。

E=IRを変形すると、両辺をRで割って、右辺左辺を入れ替え

I=E/R となります。

電圧はコンセントからの100V一定だとしましょう。

ここで、抵抗Rがドンドン小さくなってゆくと、

I=100(V)/100(Ω)
=1 (A)

I=100(V)/10(Ω)
=10(A)

I=100(V)/1(Ω)
=100(A)

つまり、電圧は電柱の変圧器からの配電で決まるので、100Vより大きくならないですが、電流は抵抗が小さくなっていくと際限なく大きくなってしまうのです。

配線が繋がっていれば、ドンドン電気エネルギーが電柱から供給されてしまうわけで、人身傷害や火災になることが容易に想像つくと思います。

ですので、しっかりと電気設備を施工しなければいけないのです。また、際限なく電流が流れないよう配線用遮断器などの機器が必要なのです。

電線の最高許容温度

次に電流に関連し、電線の最高許容温度に触れます。

発熱が起こっている際の熱量Hは電流Iで決まります。 H=I2Rt Rは抵抗値、tは時間です。

しかも、電流の2乗になっているので、電流が2倍なら発熱は4倍、電流が3倍なら発熱は9倍と恐ろしいことが起きるのです。

電線は温度で選ぶ、と言ってもいいくらいです。
ですから、電線にも「最高許容温度60℃」などと温度について、書いてあるのです。

電線の温度が上がり過ぎると、被覆が溶けて、中の銅線同士が接触しショートするかもしれません。

もっと、温度が上がると、発火するかもしれません。

ところで、電線が発熱するだけでなく、そもそも周囲の温度というものがありますよね。

電線に流せる電流は使われる周囲の温度によっても変わります。

参考までに許容電流と周囲温度の差の例を示します。
手元に電気工事士が扱う線の良い図がなかったので、電子回路用の細い線の例を示しています。図の横軸が最高許容温度と周囲温度の差、つまり許容温度までどの位余裕があるかです。

最高許容温度と周囲温度の差と許容電流の関係

この図では、右に行けば行くほど余裕があるということになります。
右に行くほど、周囲温度(例えば室温)が高くなるではなく、低くなるです。
ちょっと逆のイメージで書いてありますね。

縦軸は流して良い電流です。温度の余裕があるほど電流を流して良いとなっています。
読み取れましたか?

AWGは海外規格の線の太さで、不思議なことに数字が大きくなるにつれ、線が細くなります。この感覚不思議ですよね。

AWGの値が大きくなるほど(線が細くなるほど)許容温度が下がっています。これも読み取れましたか?

では、許容温度が高い線を全部の個所に使えばよいではないか、と思いますよね。
許容温度の他にもお値段や工事のしやすさ、耐候性で電線は選ばれます。

電圧について

次に、電圧の話をします。

電流は出て行ったら、原則的に全量戻ると話しましたが、

電圧は、高圧から出て、だんだん低くなり、最後は0Vになります。

電圧は、高圧から出て、だんだん低くなり、最後は0Vになる。

電気工事士が扱う電気は基本交流です。

交流とは、電圧が上がったり下がったりする送電の方法です。

ここで注意が必要なのは、「交流100Vで送電」と書いてあっても、実効値が100Vということで、最高値は141Vです。なぜ、実効値で呼ぶかというと、電圧が変動していて、最大値はあっという間の瞬間で、終わってしまうからです。

交流の実効値が100Vというのは、直流100Vで電球をともしたのと同じ明るさになるという意味です。

以下では、最大値ではなく、実効値で電圧を呼んでいきます。

交流100Vと書いてあっても、実効値が100Vということで、最高値は141Vです。

電圧降下

最後に、電圧降下の話をします。

電線にも必ず抵抗があるので、電線を電気が通る間に、電圧が降下していゆきます。

長い配線になる時は注意が必要で、配線の先のコンセントにはもう100Vが来ていないかもしれません。

どうすればよいか。1つの方法は電線の断面積を大きくすることです。断面積が大きくなると、電線の抵抗値が下がります。

次の図では、100Vだった電圧がモーターの所では99Vになってしまっていますね。

電圧降下が大きいと、モーターが想定の力を出してくれません。

もし、モーターに99V超えた電圧が必要なら、配線に使う電線の断面積を大きくするなど工夫が必要になります。

電圧降下が大きいと、モーターが想定の力を出してくれません。

さいごに

今回は、電工きほんのきとして、電流、電圧の話をしました。

これに関連し、電流、電圧の違い、漏電遮断器、電線の最高許容温度、電圧降下についても簡単に解説しました。

言葉の整理ができましたでしょうか。

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