自分の車が修理になり、代車で、BMW 3シリーズ ツーリングが来ました。
うちの車はそんなに高くはないのですが、レンタル屋さんの在庫が無く、これを使ってくださいとのことでした。
ラッキー!
ボディの板金修理だったので、時間がかかり、3週間程、このBMWを乗り回せました。
そこで、レビューを書きます。
いい車ですね。
車両本体価格が700万円を超えてくる車ですから。
著者のプロフィール(車記事向け)を記事末に載せました。
スタイル
主張が強いデザインですね。
家の駐車スペースに入れておいたら、近所のオジサン達も、反応していました。
特に後ろから見た後部ドアからリアフェンダーにかけてのボリューム感がカッコいいですね。
フロントフェンダー、フロントドア、リヤドア、リヤフェンダーとボリューム感が繋がるように、プレス成型で複雑な形状を作り上げていますね。
手が込んでいます。
さて、BMWは、最初の1文字がシリーズを、後の2文字が排気量を示します。
20は、2000cc です。
3シリーズの1800cc なら、318になります。
その後の、iはインジェンクション(ガソリン気化器)付きという意味です。
dが付くと、ガソリン・エンジン車ではなく、軽油を使うディーゼル・エンジン車です。
3シリーズは、大きくはないシリーズの筈でしたが、どの自動車メーカーも同じシリーズで、どんどん車のサイズを大きくしてきています。
カタログによると、
全長 / 全幅 / 全高(mm)
4,720 /1,825 /1,450
です。
全長4.7mは長いですね。
前輪と後輪の間隔(ホイールベース)も、2,850 mm あります。
上の写真で、ホイールベースが長いのが見て取れますね。
この間隔が広くなると、室内が広くなるだけではなく、直進走行時の安定性が増します。
エンジンは、直列4気筒DOHCガソリンで、総排気量 1,998 cc です。
カタログ・データでは、
最高出力(kW〔ps〕/rpm(ECE))115〔156〕/4,500
最大トルク(Nm〔kgm〕/rpm(ECE))250〔25.5〕/1,300-4,300
と書いてありました。
kwは国際単位系(SI)表記で、今はこれを使うことが求められています。
最高出力は、PSのいわゆる馬力表示が昔から使われており、今でもわかりやすいので、kw表示と併記されます。
ちょっと横道にそれますが、SI単位では重力加速度も9.8 m/s2 ですが、従来の単位(工学単位系)では g です。
地球上は、1g です。わかりやすいですね。
「あのジェットコースターでは、*g かかる」なんて今でも使いますよね。
自動車の足回りセッティングで、「ワン・ジィ(1g)かけた時の車高が**mm」なんて使われ、ばねが自然長でなく、車両重量が乗った時の長さを言う時に使われたりします。
さて、ターボチャージャー(ターボ)は、2つのツインターボです。
さすが、BMWですね。
スポーツカーと謳っていないけれど、手を抜きませんね。
ターボは、必要な容積を1個の大きなターボではなく、小型な2個のターボでまかなった方が、コスト高になりますが、アクセルを開いた時のエンジンの応答性が良くなります。
ターボ内のローター半径が、応答性に関して、2乗で効いてきますので、ローターの小径化は、効果が大きいのです。
これは、慣性モーメントの性質です。
このサイトは、楽しく、お勉強もできちゃいますね。
室内
特筆すべきは、後部座席の乗員への気遣いですね。
前部座席だけでなく、後部座席の足元にも、写真にあるように、足元ランプが点きます。
もちろん、ホイールベースが長いので、後部座席の乗員の足元が広くとられています。
フロント・ストラット(ばね上部)取り付け部の形状
ある日、大きなT字の交差点を中速で渡っていて、「んっ⁈」という感じがしました。
交差点が複雑な地形にあるのでしょうか、真中1点が高く、後は複雑に高低差があるようです。
そこを渡る時に、この車、ちょっとちがうという感じがしました。
足回りだけで追従して、ボディがよれない感じです。
後で、たまたまボンネットを開けて、感心しました。
図のようなエンジンルーム横壁の作りになっており、なるほどこれなら剛性が上がるなぁ、とびっくりしました。
下の図は、ボンネットを開けて、エンジンルームを上から見た所です。
ストラット取り付け部の剛性を上げる方法として、右側ストラット取り付け部と左側ストラット取り付け部を結ぶタワーバーを付ける方法があります。
タワーバーの方が、コストが低く作れると思うのですが、箱(ボディ)としての剛性は、この方が確保されるわけですね。
ボディ溶接のコストは高くなると思います。
すばらしい。
ブレーキの扱いやすさ
それと、感心させられたのは、ブレーキの扱いやすさでした。
ドイツの車なので、たとえ日本仕様車といえども、高速走行時のブレーキ性能は非常に高いはずです。
それだけではなく、狭い住宅地で、横道から自転車が出てきそうな所を低速で通る時にも、車速を思った通りにスムーズにコントロールできるのにはびっくりしました。
車両総重量1,885(kg)ありますが、微妙なブレーキワークに対し、ドライバーが意図とした速度にすっと落としてくれるストレスの無い上質なブレーキです。
高速走行時のドッカン・ブレーキも、低速走行時のそっとブレーキも両立するなんて、すばらしい車ですね。
ブレーキ単体だけではなく、スピードの落ちたことを精度よくドライバーに伝える、情報伝達能力が高い車でもある気がしました。
おそらく、足回りやドライバーのシートなどの影響だと思います。
随所に、この車、手やお金がかかっています。
車両本体価格が700万円を超えるのも納得がいきました。
駆動方式
カタログの諸元表にも出ていないようですが、駆動方式はフロントにエンジンがあり、後輪で駆動するフロントエンジン、リヤドライブ(FR)です。
高級車でも、フロントエンジン、フロントドライブ(FF)を採用する中で、乗心地や駆動力の伝達、操舵感覚などにメリットがあるとされるFRを作り続けるのは、やはりBMWの思想なのですね。
それにしても、BMWのサイトやカタログで、もっとアピールすればいいのに、と思ってしまいます。
まとめ
BMW 3シリーズ ツーリングを3週間ほど乗り回し、特に感心したところを書きました。
結論は、やはりいい車で、丁寧に車を作っている箇所を随所に見て取れました。
特に、ボディ剛性、ブレーキ・フィーリングといった自動車の主要機能に、譲れないところは譲らないというBMWの気質を感じました。
今後も、いろいろな車のドライブ・レビューや技術の解説をしてゆきたいと思います。
著者のプロフィール(車記事向け)
本業では、乗心地や高速走行時の安定性といった車両運動の実験、解析、開発の業務にかかわってきました。
何年か設計に居たこともあります。
プライベートでは、JAFの国内Bライセンスを持って、競技車両を所持し、遊んでいます。
ご要望やご質問など、どうぞ。 (個人情報を書かないように)